「歯並びは悪くないから矯正は必要ない」と感じていませんか?実際にカウンセリングでもよく聞かれる言葉です。確かに、正面から見たときに歯がきれいに並んでいれば、問題ないように思えるかもしれません。
しかし実は、見た目が整っていても噛み合わせがズレていることは珍しくありません。そしてこの噛み合わせのズレは、見逃すと将来的に歯や顎、全身の健康にまで影響を及ぼすこともあるのです。
今回の記事では、見逃しがちな噛み合わせのサインとリスクについて詳しく解説します。
■噛み合わせと歯並びは別もの?
まず知っておきたいのは、「歯並びの美しさ=噛み合わせの良さではない」ということです。例えば、前歯が整っているからといって、上下の奥歯が正しく噛み合っているとは限りません。噛み合わせは、歯の位置だけでなく顎の動きや筋肉のバランス、姿勢とも関係しているため、見た目だけでは正しい評価ができないのです。
■見逃しがちな噛み合わせのズレのサイン
では、噛み合わせのズレがあると、どんな症状や兆候が現れるのでしょうか?下記のようなサインがある場合は、噛み合わせの問題がある可能性があります。
- 口を閉じると顎が左右どちらかにズレる
無意識のうちに顎が横にズレる場合、左右の噛み合わせバランスが崩れている可能性があります。
- 食事中によく頬を噛む・舌を噛む
頻繁に頬や舌を噛むのは、噛む位置がズレている兆候です。
- 顎がカクカク鳴る、口が開けにくい
顎関節に違和感がある場合は、噛み合わせの異常が関節に負担をかけているかもしれません。
- 片側だけで噛むクセがある
片側ばかり使うのは、無意識に「噛みやすい方」に頼っている証拠。放置すると顔のゆがみや筋肉のアンバランスにつながります。
- 肩こり・頭痛・首のコリが慢性化している
噛み合わせの不調は、全身の筋肉のバランスを崩し、慢性的な不調を引き起こすこともあります。
- 歯がすり減っている・ひび割れている
噛み合わせが悪いと、一部の歯に強い力が集中して負担がかかるため、歯がすり減ったり、ひびが入ったりしやすくなります。
■噛み合わせのズレがもたらすリスク
見た目では気づきにくい噛み合わせのズレですが、放置するとさまざまな問題を引き起こします。
- 虫歯・歯周病のリスク増加:偏った噛み方や歯の磨き残しが増える
- 顎関節症のリスク:顎が痛む、音が鳴る、開けにくくなるなどの症状が出る
- 顔貌や姿勢の変化:顔のゆがみや猫背につながる
- 将来的な歯の喪失:過度な力が一部の歯にかかり、歯の寿命が縮んでしまう
自覚症状がないまま進行してしまうのが噛み合わせのズレの怖いところです。
■歯科医院でできること
当院では、見た目の歯並びだけでなく、噛み合わせのバランスもしっかりとチェックします。
- 顎の開閉や横の動きの確認
- 歯の接触状況の分析
- 筋肉や関節の可動域の確認
- レントゲンなどの機器を用いた詳細診断
などを行い、見えないズレを可視化・言語化してお伝えします。問題が見つかった場合は、マウスピース矯正や噛み合わせ調整によって、バランスの取れた噛み合わせへと導く治療をご提案します。
■子どもにも大人にも起こり得る
噛み合わせのズレは、大人だけの問題ではありません。成長過程にあるお子さまにも起こりうるため、定期的なチェックが重要です。特に小児期は、顎の成長が活発な時期です。早期にバランスを整えることで、将来的な問題を予防できる可能性が高くなります。インビザラインファーストなどの小児矯正も、噛み合わせの改善に効果的です。
■まとめ
「見た目が整っているから大丈夫」と思い込まずに、噛むという本来の機能を重視したチェックを受けることが、何よりも大切です。小さな違和感や癖でも、実は噛み合わせのズレのサインかもしれません。当院では、見た目と機能の両面からの診断を行っています。
気になる症状がある方、なんとなく不安を感じている方は、お気軽にご相談ください。